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おおいた市民総合法律事務所の歩み
   7.市民オンブズマンと情報公開訴訟、住民訴訟
 
地方自治体の公金支出の違法・不当について住民が情報公開条例を駆使して監視し、住民訴訟で改めさせるという運動が市民オンブズマンの運動です。 大分では、1995年9月に別府市で塾を経営する永井敬三さんを中心に「おおいた・市民オンブズマン」が結成され、活発な活動を始めました。
都道府県職員がカラ出張やカラ懇談会で旅費や食糧費を浮かせ、これを流用していたことが全国的に問題とされましたが、大分では、オンブズマンの情報公開請求によって県が全庁調査を実施せざるを得なくなり、 97年11月に平松知事は4億3400万円の不正支出を認めてこれを県職員から返還させることを決めました。しかし、不正の実態はこの程度に止まるとは思われず、「おおいた・市民オンブズマン」では、 不正の全容を解明するため、全庁調査資料の情報公開請求を行いました。しかし、大分県は、これら資料が「決裁・供覧」を経ていないから「公文書」ではなく、情報公開の対象とはならないという理由で非公開にし、 しかも異議申立期間内に重要な文書を廃棄してしまったのです。真相を闇に葬った平松知事のやり方に対して、県民の怒りが盛り上がらなかったのは、残念でなりません。 この問題については、県に対して損害賠償訴訟を提起しましたが、福岡高裁は不適切ではあったが違法とまでは認められないとして、損害賠償は認められませんでした。
一方、教育委員会については、現職高校教諭である早島さんが熱心に情報公開請求を行い、県の教育委員が教育委員会の会議でカラ宿泊をしていた事実を突き止め、監査請求をしたところ、決定前に返還されるということがありました。
住民訴訟では、全国都道府県議員野球大会に参加する県議会議員の応援のために県総務部長と総務係長が大阪府まで1泊で出張したことが公務に当たらないとして旅費・日当の返還を求めていた住民訴訟で、 福岡高裁が返還を命ずる判決を言い渡すという大きな成果を得ることができました。
また、大分市議会議員がイタリアにパック旅行していた事件で住民監査請求を提起したところ、 議員が自ら旅費を全額返還するという成果もありました。
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