大分団地新聞に連載しました

【第9回】別居に責任のある配偶者であっても5年間別居すれば離婚請求できる?
 第9回目は、不貞や暴力などの責任があった側の配偶者(有責配偶者といいます)が離婚をしたいと考える場合に、5年間別居していれば他方の配偶者に対して離婚を請求することができるという考え方について解説します。
 いくら不貞や暴力などで責任があった側でも、5年もの間別居をしていれば、夫婦関係は完全に破綻しており、元に戻ることは考えられないので、夫婦関係に縛り付けることはできず、破綻を理由に離婚を請求することができるという見解もあり得ます。実際1996年に法制審議会が答申した民法改正案は、5年間の別居を離婚理由の1つとして掲げており、このことが大きく報道されたことから、既に法改正がなされていると誤解している方が多くおられます。
 しかし、現在の判例では、責任のあった側の配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は原則として認められず、8、9年程度別居していても離婚請求が棄却されるのが現状です。また、10年以上別居していても、その間婚姻費用(生活費)をきちんと送金していなかったり、まだ生活の面倒をみなければならない未成年の子がいるような場合には離婚請求が認められていません。長く別居をしさえすれば離婚できるというようなことはないのです。
 なお、性格の不一致のように、夫婦とも別居に至るにあたっての責任が同等な場合には、2、3年の別居でも破綻として離婚が認められます。
弁護士法人 おおいた市民総合法律事務所